危険物取扱者は文字通り、「危険物」を扱う為に必要な資格です。
私が勤務していた半導体工場にも、この資格保有者が何人かいました。製造、設備保全、生産技術、施設課など、色んな部署に資格保有者がいました。
洗浄液や潤滑材などの一部が消防法による危険物に該当し、保管管理に危険物取扱者の資格を必要としたからです。
危険物取扱者は国家資格ですが、一番人気の乙種には受験制限はありません。年齢、学歴、実務経験に関係なく、誰でも受験可能です。
しかも、難易度はそれほど高くありません。本文でも紹介していますが、小学生でも合格した例があります。
あなたが生産技術、設備保全、ユーティリティ関連の仕事希望なら、取得しておいて損のない資格と言えます。
この記事では危険物取扱者の概要と、この資格が転職に際して役立つ資格なのかどうか、そんなあなたの疑問にお答えしたいと思います。
そもそも、危険物ってなに?
そもそも危険物って何でしょうか?文字通り、危険な物?
危険物取扱者の資格における危険物とは、一般に私たちが何となく危険だとイメージしているようなあいまいなものではなく消防法によって具体的に特定されています。

簡単に言えば、
「燃えやすいもの・火災の原因になりやすいもの」
です。
ガソリン、石油などは一番分かり易いですね。これらは可燃物と呼ばれます。
あるいは、それ自体は燃えなくても、他の物質を燃えやすくさせる性質のある化合物も危険物に含まれます。こうした性質のある物質を支燃物(しねんぶつ)と呼びます。
ただ、消防法で定められた危険物は液体と固体のみで、気体は含みません。
プロパンガスやアセチレンガスなどは火災の原因になりますが、消防法とは違う別の法規制によって安全性を確保することが義務付けられています。
私は半導体工場に勤務していましたが、設備保全担当者の中に乙種第4類危険物取扱者の資格を持つものが数名いました。
私の記憶でハッキリしているのが3名、他にも何人かいたと思います。
では、危険物取扱者の資格は設備保全の転職に有利なのでしょうか?
危険物取扱者は設備保全の転職に有利か?
危険物取扱者の資格を持っていると転職市場では有利でしょうか?評価が高くなるでしょうか?
必置資格であり、転職市場でも需要は高い
危険物を扱う現場では危険物取扱者がいないと仕事が出来ません。いわゆる必置資格です。それゆえ、非常に需要の高い資格となっています。
私が勤務していた半導体工場でも潤滑油や洗浄剤の一部が危険物に該当し、けっこうな量の在庫を抱えていました。
そのため、乙種第4類危険物取扱者の資格を持つ者が数名いました。
設備保全のメンバーの中にも資格保有者がいたし、工場全体のユーティリティー担当部署にもいました。ある規模以上の工場なら必ず需要のある資格です。
従って、危険物取扱者は保全担当者としては取得しておいて損のない資格と言えます。むろん、乙種第4類が絶対のオススメです。
危険物取扱者は後で説明しますが、至難と言うほど難易度も高くありません。しっかり勉強して臨めば合格出来ます。

転職には有利だが決め手の資格ではない
ただし、あなたが危険物取扱者の資格を持っているだけで採用されるほどの決め手となる資格ではありません。
確かにビルメンテナンス、ユーティリティ管理、プラントエンジニアなどの求人で危険物取扱者の資格を応募条件に指定する求人はたくさん出ています。
設備保全や生産技術の求人では需要の高い資格と言えます。
しかし、こうした求人で欲しい人材は資格を保有しているだけでなく、現場を熟知している人です。単に資格を持っているだけではさほど転職に有利とは言えません。
危険物取扱者はそれほど取得の難易度が高い資格ではないし、わざわざこの資格だけの為にキャリア採用するような企業や工場は考えにくいです。
もしも資格保有者が必要なら内部の社員に取得させれば済む話なのです。
本当に現場の危険物を扱える人材が欲しい時は、ベテランの経験者を採用したいはずです。従って危険物取扱者の資格が活きるのはあくまで実務経験が伴う場合です。
とは言え、設備保全や生産技術の担当エンジニアなら、転職する、しないに関わらず取得しておいて損のない資格と言えます。

危険物取扱者の求人が多い転職サイト
危険物取扱者は採用の決め手になるような資格ではありませんが、それでも応募の歓迎条件に指定する求人は多数あります。
こうした求人の方が全く指定のない求人より資格を活かせることは間違いありません。
では、大手の転職サイトでどれほど危険物取扱者指定の求人があるか、調べた結果をご覧下さい。
【危険物取扱者の求人が多い転職エージェント】
| 転職エージェント | 危険物取扱者の求人状況 |
| リクルートエージェント | 求人件数多数あり。非公開案件にも好条件あり。 |
| doda | 非常に幅広い分野から多数の求人あり |
| マイナビ転職メーカーAGENT | 関東・関西・東海エリアを中心にそこそこあり |
| メイテックネクスト | 件数は少な目だが、大手からの求人あり |
*2025年11月調査。求人件数は時期によって増減します。
各転職エージェントのキーワード検索、資格検索で、危険物取扱者の求人を検索すると上記の表の結果となりました。
しかし、この求人状況はさほど気にする必要はありません。
検索結果に出なかった求人でも、設備保全、生産技術の求人なら危険物取扱者の資格は歓迎されます。
反面、資格を持っていてもそれが決め手で採用されることはまずありません。先程説明した通り、実務経験がどほどあるか、そこがアピールポイントです。
あなたが危険物取扱者の資格を活かすなら、まずは危険物取扱者が応募の歓迎条件に指定された求人からチェックするのが効果的です。
危険物取扱者検定の概要
危険物取扱者の資格はそれほど取得に難易度が高い資格ではありません。しっかり勉強すれば小学生でも合格できます。
2023年度には全国で11人の小学生が合格したそうです。元データはこちら。
ただし、合格率は30%台なので、事前準備が十分でないと合格は出来ません。
【資格名】
●危険物取扱者
【どんな資格か】
●国家資格であり、必置資格です。
●危険物取扱者は、危険物の性質や法令、消火方法などについての専門知識を備え、災害を未然に防ぐ使命がある。
●危険物取扱者は取り扱いが許される危険物の種類によって、甲種、乙種、丙種の3種類に分かれる。
●甲種は全ての危険物を取り扱うことが出来る。
●乙種は第1類から第6類まである。最も需要が高いのは第4類であり、受験者数も多い。
第1類:酸化性固体
第2類:可燃性固体
第3類:自然発火性物質及び禁水性物質
第4類:引火性液体
第5類:自己反応性物質
第6類: 酸化性液体
第4類の受験者は乙種全体の約8割で、圧倒的に需要が高くなっています。
●丙種は乙種第4類の細分類であり、ガソリン・軽油・灯油・重油などが対象。
【受験資格】
●甲種
・大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
・大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
・乙種危険物取扱者免状を有する者
・修士・博士の学位を有する者
●乙種、丙種には受験制限はありません。誰でも受験可能です。先ほども紹介しましたが、小学生の合格者も誕生しています。
【受験方法】
●受験申請
消防試験研究センター各道府県支部(東京都は消防試験研究センター中央試験センター)に持参、送付、または電子申請します。
・
●受験日
受験票に記載された試験日、受験会場で試験を受けることになります。
・
●受験手数料(非課税)
甲種 ¥7,200
乙種 ¥5,300
丙種 ¥4,200
*2025年11月時点
【試験問題】
●甲種(150分)5肢択一
・危険物に関する法令 15問
・物理学及び化学 10問
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 20問
●乙種(120分)5肢択一
・危険物に関する法令 15問
・基礎的な物理及び基礎的な化学 10問
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 10問
●丙種(75分)4肢択一
・危険物に関する法令 10問
・燃焼及び消火に関する基礎知識 5問
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 10問
各科目とも、それぞれ60%以上の正解で合格となります。
【合格率 令和6年度】
令和6年度の合格率は以下の通りです。
| 区分 | 受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) |
| 甲種 | 21,257 | 7,484 | 35.2 |
| 乙種1類 | 8,247 | 5,492 | 66.6 |
| 乙種2類 | 9,411 | 6,310 | 67.0 |
| 乙種3類 | 10,896 | 7,221 | 66.3 |
| 乙種4類 | 223,846 | 71,023 | 31.7 |
| 乙種5類 | 11,211 | 7,153 | 63.8 |
| 乙種6類 | 10,746 | 7,220 | 67.2 |
| 乙種計 | 274,357 | 104,419 | 38.1 |
| 丙種 | 20,687 | 10,199 | 49.3 |
| 合計 | 316,301 | 122,102 | 38.6 |
*元データ
需要の多い乙種第4類の受験者が最も多くなっています。そして合格率も一番低くなっています。これは第4類を最初に受験する人が多いせいです。
他の類は第4類を合格してから受験する人が多く、その為合格率が高くなっている側面があります。
危険物取扱者については需要の多い資格なので、受験用の参考書、問題集、通信教育にスクーリングと、勉強方法も豊富に選択できます。
ただし、危険物取扱者の過去問は一部のみしか公開されていません。
すでに紹介したように、小学生でも第4類に合格しています。1つ1つの問題はそれほど難問ではありません。
過去問はむろん、周辺知識もしっかり問題集で勉強すれば合格できます。
モノづくりエンジニアの転職に有利か
危険物取扱者は必置資格であり、資格の需要は多いです。
特に乙種4類はガソリンスタンドの従業員、タンクローリーの運転手、石油精製所、化学工場など多方面で必須の資格です。それゆえ、危険物の中では最も受験者数の多い資格です。
転職目的で資格を狙うなら、乙種4類が絶対のおススメです。
また、ビルメンテナンスや施設管理などにも需要が高く、転職市場で求人が多く見られます。
このように資格そのものは転職市場で需要が高いのですが、この資格が決め手になって採用されるかと言えば、そうでもありません。
勉強すれば小学生でも取得可能な資格ですから、転職市場でキャリア採用しなくても内部の人材に取得させる方法もあります。
そもそも、1つの事業所にひとりの危険物取扱者がいれば法的には問題がありません。
むろん、実務ベースでは交代要員が必要だし大きな工場や施設では一人では手が足りないでしょう。しかし、よほどの大規模な工場でない限り、それほど大勢の危険物取扱者は不要です。
結論として、危険物取扱者の資格は工場でモノづくりに関わる仕事を目指すなら、取得しておいて損のない資格です。
採用の決め手にならなくても歓迎、優遇される資格であることは間違いありません。
まとめ
危険物取扱者は消防法によって指定された危険物を取り扱うのに必要な必置資格です。
危険物を取り扱う仕事、保管する仕事では必須の資格であり転職市場でも需要の高い資格です。
モノづくりエンジニアを目指すあなた、設備保全、メンテナンスを目指すあなたにもお勧めの資格と言えます。
難易度もそれほど高くないので、過去問や問題集をしっかり勉強すれば合格出来ます。
参考:モノづくりエンジニアの専門資格
| モノづくりエンジニアに需要の多い専門資格 | ||
| 電気主任技術者 | 電気工事士 | 電気工事施工管理技士 |
| 機械保全技能士 | 自主保全士 | 危険物取扱者 |
| エネルギー管理士 | 公害防止管理者 | 電子機器組立て技能士 |
| QC検定 | ボイラー技士 | 玉掛作業者 |
| CAD利用技術者 | 半導体製品製造技能士 | 機械設計技術者 |
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