電子機器組立て技能士は電気系の保全転職に有利な国家検定

電子機器組立て技能士とは、職業能力開発協会が行う国家検定(技能検定)です。

この検定に合格すると「電子機器組立て技能士」と名乗ることが可能となり、電子機器の組立や修理に必要な知識、スキルを持っている証となります。

検定の性格から言えば、電子機器の組立てを行う作業者がスキルアップの為に勉強、訓練して合格をめざす検定です。

その知識、スキルが設備保全や生産技術の仕事にも活かせます。

量産工場の製造ラインでも大型プラントでも、そこで稼働している設備には電子機器、電子部品が多数使用されています。

そうした設備の点検や修理、改善改造には電子機器組立て技能士の知識やスキルが役に立ちます。

私が勤務していた半導体工場の製造設備、検査機にもおびただしい量の電子機器が使用されていました。

電子機器組立て技能士の活躍する機会は十分ありました。

LSI

20年間、半導体工場で設備保全、生産技術を担当してきた私の体験もまじえて、電子機器組立て技能士が生産技術や設備保全の転職にどう役立つのか解説します。

また、検定の難易度、受験方法なども詳しく解説します。

電気系のエンジニアを目指すあなたにはぜひ読んで欲しい記事です。

 

電子機器組立て技能士は設備保全の転職に有利か?

電子機器組立て技能士は設備保全の転職には有利なのでしょうか?

実は生産技術や設備保全の求人で電子機器組立て技能士を応募条件に指定する求人はほとんどありません。

大手の転職エージェントで「電子機器組立て技能士」をキーワード検索しても、ほんの数件程度しか求人は出てきません。

電子機器組立て技能士はれっきとした国家検定なのに、なぜ求人は極端に件数が少ないのでしょうか。

答えは単純で、検定に合格しなくても全ての電子機器の組み立て作業は可能だからです。

例えば電気主任技術者や電気工事士みたいにその資格がないと作業が出来ないという訳ではありません。

電気主任技術者は必置資格、電気工事士は業務独占資格ですが、電子機器組立て技能士は国家検定です。

国家資格で言えば名称独占資格と同じです。この違いが転職市場における資格の需要の差となっています。

資格の種類についてはこちら

『モノづくりエンジニアの転職に必要な資格はこれだ!』

実際、私が勤務していた半導体工場にもこの検定には合格していないけど熟練のピカイチさんは何人かいました。

その人たちは検定がなくても仕事は出来るし、スキルの高さは結果が証明し皆が評価します。

だから彼らは電子機器組立て技能士の検定を受ける必要がなかったのです。

半導体チップ

 

電子機器組立て技能士の転職は2通りの選択肢

電子機器組立て技能士のキャリアを活かした転職先を探す方法は次の2つです。

①電子機器の組立て・配線作業員の求人を探す。

②生産技術・設備保全の電気系エンジニアの求人を探す。

この2通りです。

それぞれにメリット、デメリットがあります。

組立て・配線作業員の転職に活かす

組立配線作業員の求人に電子機器組立て技能士を活かすメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット

●電子機器組立て技能士の検定合格者なら採用されやすい。

●求人件数が多い。勤務地や職種などの選択肢が広い。

●比較的難易度の低い仕事から高度なレベルの仕事まで選べる。

●年齢や経験などのハードルが低い。(派遣求人が多いため)

デメリット

●求人の多くは派遣社員募集。正社員を目指す人にはデメリット。

●組立て・配線作業の求人であり、エンジニアになれる求人ではない。

●スキルアップを目指すことが難しい求人が多い。(派遣求人が多いため)

私が関西の事務機メーカーに勤務していたころ、会社の組立ラインには電子機器組立て技能士の1級、2級に合格した人が何人もいました。

事務機の制御部を製作したり、機内配線したり、基板の実装をしたり、随所にスキルを必要とします。

それで自分自身のスキルアップのために皆、電子機器組立て技能士の検定に挑戦していました。

合格者には資格手当が支給されていたし、組立ラインの昇進には必要な検定と言う認識でした。

こうした電子機器の組立て、配線を行っている工場では常に作業者の募集、求人を行っています。

求人の応募条件に検定が入っていなくても、検定を活かした実績、キャリアをアピール出来れば採用選考、処遇決定に有利です。

資格

生産技術・設備保全の転職に活かす

生産技術設備保全の転職に電子機器組み立てを活かすメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット

●多くは正社員募集の求人であり、正社員を目指す人にはメリット。

●エンジニアとしてスキルアップができる。

●組立て・配線の製造工程だけでなく、技術系の幅広い仕事で活躍できる。

デメリット

●電子機器組立て技能士の検定だけでは採用されない。

●年齢やキャリア、資格の条件が厳しい。

●高度な専門知識、スキルを必要とする求人が多く、採用のハードルは高い。

通常、設備保全や生産技術などのエンジニア職の求人に、「電子機器組立て技能士募集」などまず出てきません。

出てくるのは機械保全技能士や電気工事士などの資格です。

しかし、私が勤務していた半導体工場では設備保全にも生産技術にも電子機器組立て技能士のスキルは必要不可欠でした。

何しろ半導体の製造装置、検査装置は電子機器の固まりです。複雑な配線、ずらり並んだ制御盤、それを製作、保守保全しなくてはなりません。

それには電子機器組立て技能士のスキルや知識は絶対必要なのです。

これは何も半導体工場だけに限りません。自動車でも家電でも量産工場では製造設備、検査設備が稼働しています。

それらの設備、器機には電子部品が使用されており、組立て配線作業は必ずついてきます。

従って、電子機器組立て技能士の資格を生産技術や設備保全の転職で活かすには、資格そのものをアピールするのではなく、電気系エンジニアとしてのスキル、キャリアの裏付けとして資格をアピールする必要があります。

電気工事士3

製造ラインで電子機器組立て技能士を活かす転職、設備保全で資格を活かす転職、どちらも求人情報に「電子機器組立て技能士募集」とは出ていません。

企業は検定の肩書を求めているのではなく、検定合格者と相応の知識やスキルを求めているのです

従って、あなたは電子機器組立て技能士と言う肩書で求人検索するのではなく、組立て配線作業、あるいは設備保全生産技術と言う職種で求人検索する必要があります。

 

製造ラインの組立・配線で転職先を探す方法

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設備保全・生産技術職で転職先を探す

電子機器組立て技能士を生産技術、設備保全の転職に活かすには、次の5転職エージェントがおすすめです。

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電子機器組立て技能士検定の概要

電子機器組立て技能士検定の概要について紹介します。

【検定名】

電子機器組立て技能士

【どんな検定か】

●電子機器の組立、修理に 必要な作業能力を認定する国家検定(技能検定)。

●特級・1級・2級・3級がある。

特級 管理者または監督者が通常有すべき技能の程度
1級 及び 単一等級 上級技能者が通常有すべき技能の程度
2級 中級技能者が通常有すべき技能の程度
3級 初級技能者が通常有すべき技能の程度

*中央職業能力開発協会公式ホームページより

【受検資格】

受験資格は経験や学歴、職業訓練などによって異なります。ここでは実務経験のみの資格を紹介します。

●特級
1級合格後5年以上の実務経験

●1級
7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上、3級合格4年以上の実務経験が必要です。ただし学歴によって実務経験が短縮されます。

●2級
2年の実務経験、または3級合格が必要です。ただし学歴によって実務経験が短縮されます。

●3級
不問。実務経験なしでも受験可能。

受験資格の詳細は下記厚生労働省のホームぺージからご確認下さい。

『受験資格』

【受験方法】

実施日程、試験場、受験料は以下の通りです。

矢印アイコン実施日程

電子機器組立て技能検定は前期、後期と年2回実施されます。日程についてはかなり複雑なので中央職業能力開発協会公式ホームページにてご確認下さい。

『実施日程』

矢印アイコン試験場

全国の指定公開会場

矢印アイコン受験料

●学科試験  3,100円

●実技試験 18,200円

【検定問題】

特級電子機器組立て技能士の試験問題

【学科試験】
・工程管理
・作業管理
・品質管理
・原価管理
・安全衛生管理および環境の保全
・作業指導
・設備管理
・電子機器組立てに関する現場技術

【実技試験】
・工程管理
・作業管理
・品質管理
・原価管理
・安全衛生管理
・作業指導
・設備管理

1級・2級電子機器組立て技能士の試験問題

【学科試験】
・電子機器
・電子および電気
・組立て法
・材料
・製図
・安全衛生

【実技試験】
・電子機器組立て作業

3級電子機器組立て技能士の試験問題

【学科試験】
・電子機器
・電子および電気
・組立て法
・材料
・製図
・安全衛生

【実技試験】
・電子機器組立て作業

出題の詳細は厚生労働省のホームページからご覧になれます。

「試験科目及びその範囲」

 

なお、実技の風景が写真で公開されています。こんな雰囲気なのかと分かります。

『実技会場風景』

中央技能振興センターから『3級技能検定の実技試験課題を用いた人材育成マニュアル』がネット公開されています。こちらも参考にして下さい。

【合格率・難易度】

令和6年度の各等級ごとの合格率は以下の通りです。

等級 受験申請者数 合格率
特級
1級 590人 47.8%
2級 1,779人 47.0%
3級 2,169人 63.6%

*特級はデータ見つからず

合格率のデータ確認はこちら。

『資格概要(技能検定・電子機器組立て/機械検査)』

 

まとめ

この記事では電子機器組立て技能士の検定がどんなものか、その概略を説明すると同時に検定が転職に有利なのか、お伝えしました。

本文の中で説明した通り、電子機器組立て技能士の知識や技術に需要はありますが、肩書そのものに需要はありません。

特に検定を持っていなくても、相応の知識と技術があればそれで十分であり、あえて検定を必要とはしません。

従って、電子機器組立て技能士を求人検索しても、ほとんど見つかりません。求人企業の需要は検定そのものにあるのではなく、あくまで専門知識と技術にあります。

あなたが転職でこの検定を有効に活かすには、まず電子機器組立て作業を必要とする求人を見つけ、次に検定合格を活かしてきたキャリアをアピールする必要があります。

つまり、肩書を売り込むのではなく、電子機器組立て技能士としての知識、技術、実績を売り込むのです。

肩書はあくまで実力の裏付けとして活用すべきです。

 

参考:モノづくりエンジニアの専門資格

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