設備保全

機械保全技能士は設備保全、メンテナンスの技能を証明する国家検定(技能検定)です。この検定は保全エンジニアが自分のスキルアップの為に受検する検定と言えます。

検定実施機関である、日本プラントメンテナンス協会によると、毎年受検者数は3万人以上で、モノづくり分野の資格では受験者数ナンバーワンです。

私が20年間勤務した半導体工場の、何人かの保全エンジニアがこの資格を保有していました。資格保有者はトップレベルのエンジニアとして第一線で活躍していました。

ここでは機械保全技能士がどんな検定なのか、受検方法、試験問題、難易度(合格率)などを解説すると同時に勉強法についても紹介します。

また、機械保全技能士を活かした転職方法についても解説します。

 

機械保全技能士検定の概要

2024年度の実績を見ると、機械保全技能士検定を受検した人の総数は30,015人でした。

そのうち合格した人は12,591人で、合格率は41.9%でした。受験総数や合格率はほぼ毎年変わらずこのレベルです。

『 機械保全技能検定試験結果情報』

合格率は2級以上はかなり難易度が高く、十分な準備と経験がないと合格は難しい検定です。

【検定名】

●機械保全技能士

【どんな検定か】

●機械の保全に必要な技能・知識がどのレベルかを評価する国家検定(技能検定)です。

機械系保全作業電気系保全作業設備診断作業の3種類の区分があります。

●検定等級は、特級、1級、2級、3級の4種類ががあります。

【受検資格】

機械保全技能士の受験資格は以下の条件を満たすことが必要です。

等級 受検に必要な実務経験年数
特級 1級合格後5年以上
1級 7年以上
2級 2年以上
3級 0年(問わない)

受験資格には免除条項があります。詳しくはこちらをご覧ください。

機械保全技能検定 試験要綱

【受検方法】

2022年度の実施要項は以下の通りです。

最新の受験方法は『機械保全技能検定の試験概要について(実施公示) 』からご確認ください。

項 目 第1回 第2回
検定対象 3級のみ 特・1・2・3級
願書受付 4月 8月~9月
学科試験 6月 12月~1月
実技試験 6月~7月 11月~1月
試験場 各都道府県に指定された会場 各都道府県に指定された会場
受検料 学科のみ 4,600円 4,600円
受検料 実技のみ 15,400円 15,400円
受検料 学科・実技両方受検 20,000円 20,000円

*2級、3級は年齢や学生によって減額があります。詳細は下記日本プラントメンテナンス協会のサイトを参照ください。

*不合格の場合でも学科、実技、どちらか合格すれば次回から免除されます。

*最新の試験日程は、日本プラントメンテナンス協会の公式サイトに掲載されています。

日本プラントメンテナンス協会公式サイト

【合格率(2024年度)】

●2024年度の合格率

等級 受験者数 合格率
特級 691 20.7 %
1級 8,960 29.5 %
2級 13,293 35.0 %
3級 7,071 72.8 %
全等級 30,015 41.9 %

*データ元「試験結果情報」合格率の詳細はこのあと。

【転職に有利か】

●国家検定で難易度もそれなりに高いですが、国家資格の必置資格や業務独占資格に比べると転職市場の需要は少ない。

●需要が少ない理由は、この検定に合格しなくても機械保全の知識とスキルがあれば業務可能だからです。

●しかし、機械保全技能士の肩書に需要はなくても、知識やスキルには需要があります。

●アピールのカギは、単に検定合格ではなく、検定を活かした実務経験、能力を具体的に説明することです。

 

機械保全技能士の等級別レベルと受験資格

機械保全技能士の特級から3級までの、それぞれのレベルと受験資格について紹介します。

【特級 機械保全技能士】

●等級のレベル

管理職、マネージャークラスの技能です。

●受験資格

1級合格後5年以上の実務経験が必要です。特級は学歴による受検資格の年数短縮はありません。

【1級 機械保全技能士】

●等級のレベル

上級技能者であり、製造部門や保全部門のリーダーが保有すべき技能です。メンバーの指導やアドバイスが出来るレベルとも言えます。

●受験資格

7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上、3級合格4年以上の実務経験が必要です。ただし学歴によって実務経験が短縮されます。

【2級 機械保全技能士】

●等級のレベル

中級の保全エンジニアが通常保有しておくべき技能レベルです。分かり易く言えば、たいていの修理や点検は自己完結できるレベルです。

●受験資格

2年の実務経験、または3級合格が必要です。大学・短大・高専などを卒業していると実務経験が2年なくても受検資格があります。

【3級 機械保全技能士】

●等級のレベル

初級エンジニアが保有すべき技能。新入社員が勉強する目標にするのもありです。

●受験資格

実務の経験問わず。

受験資格の詳細はこちらをご覧ください。

『技能検定の受検に必要な実務経験年数一覧』

 

検定にはどんな試験問題が出るか?

機械保全技能士の検定試験にどんな問題が出題されるのか、過去の問題とその正解がこちらのサイトで確認できます。

『過去の試験問題』

これは公益社団法人日本プラントメンテナンス協会のサイトです。この協会は職業能力開発促進法に基づく指定機関であり、検定試験の実施機関でもあります。

機械保全技能士の機械系保全作業2級の問題を見てみると、それほど専門的に深く掘り下げた問題は出題されていません。

ただし、非常に広範囲に渡って保全に必要な知識を身に着けているか問われます。

例えば潤滑油の判定、駆動系トラブルの原因判定、正しい対処法などが出題されています。かと思えば、油圧回路図やウォーム減速機の組立図の問題が出題されたりします。

日頃の実務の中でしっかり正確な知識を身に着けておかないと、いくら試験場で考えても正解が出てきません。

過去の問題をしっかり研究すると同時に、各問題の周辺知識まで抑えておく必要があります。

なお、電気系保全作業の実技試験では工具や測定器を使って実際に回路の配線作業をやったり修復作業を行います。過去の問題を参照して下さい。

過去問やテキストについては、この後の「試験勉強法」で説明しています。

お金はかかりますが、過去問集と作業別のテキストはぜひ購入して勉強してください。

機械保全技能士検定の合格率は?

機械保全技能士検定の過去の合格率は公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が公開しています。

『機械保全技能検定試験結果情報』

ここにデータの一部を紹介します。

【2024年度 全作業 結果】

等級 受検者数(人) 合格者数(人) 合格率
特級 691 143 20.7 %
1級 8,960 2,644 29.5 %
2級 13,293 4,654 35.0 %
3級 7,071 5,150 72.8 %
全等級
30,015 12,591 41.9 %

表1. 2024年度機械保全技能士検定結果

機械保全技能士検定の機械系、電気系、設備診断の3つの作業を合計した合格率は表1の通りです。

1つ1つの問題はそれほど難しくないのですが、何しろ広範囲に出題されるので自分の詳しい分野だけの知識で試験を受けても合格出来ません。

合格ラインの目安は、学科が100点満点で65点以上、実技が60点以上です。

機械系保全作業 結果

特級は全作業のみで、機械系、電気系と別れた検定はありません。

等級 受検者数(人) 合格者数(人) 合格率
1級 7,163 2,141 29.9%
2級 10,431 3,974 38.1%
3級 5,874 4,557 77.6%

表2.2024年度機械系保全作業結果

機械保全技能士の検定では、機械系保全作業の受検者が最も多く、特級を除く受検者全体の約80%を占めています。機械系の保全スキル、知識の需要が多いことを示す数値だと言えます。

確かに私の経験からも機械系の方が検定を活かす場面が多いと言えます。

ただ、計測器や検査機など電気系が中心の設備を保全するなら、電気系の保全検定を狙うのもありです。
寸法検査を行う

電気系保全作業 結果

特級は全作業のみで、機械系、電気系と別れた検定はありません。

等級 受検者数(人) 合格者数(人) 合格率
1級 1,158 295 25.5%
2級 2,537 581 22.9%
3級 1,197 593 49.5%

表3.2024年度電気系保全作業結果

電気系保全作業には特級を除く受検者全体の約16.7%の受検者がいました。

過去の試験問題を見てみると、電気回りの保全を中心に実務をやっている人でないと難しそうな問題が並んでいます。

電気系の保全要素が多い設備の保全担当者向けの検定と言えます。

半導体チップ

合格には現場の作業から得る知識だけでなく、過去の問題研究の中でしっかり座学によって周辺知識まで抑えておく必要があります。

実技対策は過去の問題から、何度も実際に制作の練習を繰り返しておくことです。制限時間を意識しながら時間配分のペースを覚えておくといいですね。

設備診断作業 結果

設備保全作業検定は1級と2級のみあります。

等級 受検者数(人) 合格者数(人) 合格率
1級 693 147 21.2%
2級 333 165 49.5%

表4.2024年度設備診断作業結果

設備診断作業の受検者は特級を除く全体のわずか3.5%です。最も受検数が少ない作業です。

設備診断作業とは、設備の異常を見つける方法や手段を知っており、その原因を明らかにして対策を行う作業を言います。

従って試験もそうした作業に必要な知識があるかどうかを問うものです。

設備診断

設備保全の観点からすると、全てあなたが自分で修理できなくても他の保全担当者に正しい指示が出来ればいいわけです。

まずは設備が正常か異常か、診断できる知識、技能を持っているかを試す検定です。

 

機械保全技能士検定の試験勉強はどうやる?

私自身の体験も交えて、機械保全技能士検定の勉強法をいくつか紹介したいと思います。

テキストや過去の試験問題から学ぶ

どんな勉強法をやるにしても、絶対に外せないのが過去の試験問題から学ぶ方法です。全く同じ問題が出る訳ではありませんが、毎年似たような問題が出ています。

問題と答えを丸暗記するような勉強法ではダメですが、解き方を覚えておくことは必要です。

そして、過去問と合わせてテキストを併用することをおすすめします。

あなたが難しいと感じる問題は、その周辺をテキストでしっかり押さえる必要があります。応用が利く、活きた知識として身に付けることが大事です。

おすすめのテキスト、過去問はオーム社や科学図書出版などから出ています。あなたが使いやすそうだと思う1冊にしぼって、同じテキストを繰り返し勉強してください。

あれこれ何冊も使うより、1冊を使い込んだ方が確実に知識が身に付きます。

機械保全技能士テキスト

テキストは機械系、電気系、設備診断でそれぞれ出ています。あなたが受験しようと思う作業で購入してください。

今は書籍をネットで購入する人が多いと思いますが、テキストや過去問はできれば本屋で手にとって、使いやすさを比較してください。

迷った時は、改定を重ねた、過去に利用者の多い本が無難です。

どんな試験でも同じですが、答えを導き出すのに必要な知識は暗記するしかありません。

暗記が苦手な人も多いと思いますが、私の場合はカードを作って反復あるのみ、と言う方法でした。(半導体製品製造技能士2級を受験したとき)

いつでも、どこでもカードを取り出しては反復記憶やっていました。この方法は単純ですが、私にはもっとも効果的な方法でした。

◇JTEXの通信教育を利用する

私はJTEXの通信教育を利用したことがあります。

機械設計を始めて2年目か3年目くらいの時です。自分が設計した試作機を自分で制御して動かすため、シーケンス制御を学びました。

半年ほど勉強して、PLC(Programmable Logic Controller、プログラマブルロジックコントローラ)を使って試作機を動かせるまでになりました。

一人ではなかなか勉強のペースが作れませんが、その点通信教育を利用すると便利です。

学習しては問題解答をして提出、添削指導を受ける、と言うサイクルが自然と身に着いて意思の弱い私も挫折せずに勉強を続けることが出来ました。

また、学習カリキュラムが確立されているので、必要な知識を体系的に、計画的に学ぶことが出来ます。

受験用に利用すれば、これだけ学習しておけば合格出来る、と言う目安がハッキリするので目標設定が容易です。

JTEXの通信教育で機械保全技能士の受験勉強をする

機械保全通信教育

●主テキスト6冊
●別冊「問題と解答・解説例」
●レポート課題集・解答マークシート(提出回数6回)
●一般受講料 ¥31,900(消費税込み)

◇職場で勉強会を開く

社内で同じ検定を目指す者が集まって勉強会を開くのもはとても効果的です。私の場合は2級半導体製品製造技能士検定の時に社内で勉強会があり、参加しました。

何しろお金がかからないし、検定合格者から丁寧に教えてもらうことが出来ます。同じ受検仲間と一緒に学べるので意思が弱くても挫折せずに済みます。

やはり一人で勉強を続けるのはよほど意思が強く、モチベーションを高く維持してないと難しいです。

ただし、一人で勉強会は開けません。複数の受験者がいて、出来れば検定合格者の先生がいて欲しいところです。

先生役になった人はご苦労様ですが、これは毎年持ち回りでお願い出来ればいいですね。

最悪、先生役がいなくても受験仲間同士で勉強会を開くのも効果アリです。誰かが先生役になって問題を出し、それを皆で答えるといった形式ですね。

勉強会

あるいは、過去問で自分がよく分からない、解けないものがあればそれを出し合って他のメンバーに教えてもらうのも効果的です。

 

機械保全技能士におすすめの転職エージェント

機械保全技能士を最大限活かせる転職先は、生産技術や設備保全、メンテナンス職です。

そうした転職に強い、メーカー求人の多い転職エージェントを5選紹介します。

エンジニア出身のキャリアアドバイザーや、企業情報に精通した経験豊富なアドバイザーがあなたに最適な転職先をマッチングしてくれます。

マイナビ転職メーカーAGENT

モノづくり・メーカーに強い転職エージェント

マイナビメーカーAGENTロゴ3

項 目 概 要
サービスの特徴 ものづくりエンジニアの転職を支援
機械保全技能士の求人 設備保全、生産技術、メンテナンスの求人多数あり
求人が多い業界 電気・電子機器 機械・機械部品 自動車 半導体など
強みを発揮するエリア 主に東京、神奈川、千葉、埼玉など関東圏
未経験者の応募 全体の数パーセント程度で少ない
主な対象年齢 20代~30代の利用者が多い
その他 厚生労働省認定の「職業紹介優良事業者」。初めての転職も安心
注意点 関東・関西・東海エリア以外では求人が少ない

 

詳細記事を読んでから、登録するか決める

【マイナビ転職メーカーAGENT】

※マイナビのプロモーションを含みます。

リクルートエージェント

求人件数が国内最大級の転職エージェント

リクルートエージェント新

項 目 概 要
サービスの特徴 求人件数は国内最大級。機械保全要員の求人も最大級
機械保全技能士の求人 生産技術、設備保全で圧倒的多数
求人が多い業界 電気機器・電子部品 自動車 機械・機械部品など
強みを発揮するエリア 全国
未経験者の応募 全体の求人件数が多いので、他のサービスよりは探しやすい
主な対象年齢 求人が多いので全年代で利用可能
その他 転職支援実績ナンバーワン
注意点 求人の40%以上が非公開。登録して情報入手。

 

*業界最大級の求人件数で転職支援実績No1

【リクルートエージェント】

リクルートエージェントの詳細記事を見る

※リクルートエージェントのプロモーションを含みます。

doda(デューダ)

迷ったらまず登録、転職活動の鉄板転職エージェント

doda

 

項 目 概 要
サービスの特徴 求人情報が詳細で分かりやすく、転職者満足度No1サービス
機械保全技能士の求人 設備保全、生産技術の求人が多数
求人が多い業界 自動車 電子部品 機械・機械部品 半導体など
強みを発揮するエリア 全国
未経験者の応募 全体の求人件数が多いので、他のサービスよりは探しやすい
主な対象年齢 求人が多いので全年代で利用可能
その他 スカウトサービス、パートナーエージェントサービスも利用可
注意点 非公開案件に好条件の求人あり。登録して情報入手

 

*初めての転職でも安心、転職エージェントの鉄板サービス

【dodaエージェントサービス】

dodaエージェントサービスの詳細記事を見る

※dodaのプロモーションを含みます。

メイテックネクスト

エンジニア転職に特化した転職エージェント

メイテックネクスト新

項 目 概 要
サービスの特徴 エンジニア転職に特化、メーカーの人事担当者と太いパイプ
機械保全技能士の求人 生産技術、メンテナンスの求人が多数
求人が多い業界 メカトロ分野 電気・電子・半導体 自動車など
強みを発揮するエリア 主に関東、関西、東海
未経験者の応募 全体の数パーセント程度で少ない
主な対象年齢 20代~30代向けの求人が多い
その他 技術畑出身のコンサルタントが半数以上
注意点 未経験者やスキルのない人には求人が少ない

 

詳細記事を読んでから、登録するか決める

【メイテックネクスト】

※メイテックネクストのプロモーションを含みます。

リクルートダイレクトスカウト

年収アップ、ハイクラス転職をめざす転職エージェント

リクルートダイレクトスカウト新

項 目 概 要
サービスの特徴 ハイクラス限定のヘッドハンティングサービス
機械保全技能士の求人 生産技術、メンテナンスの求人が多数
求人が多い業界 電気・電子・半導体 機械・精密機器 自動車など
強みを発揮するエリア 主に関東、関西、東海
未経験者の応募 未経験者不可(異業種、異職種の転職はあり)
主な対象年齢 20代からシニア世代まで、能力があれば応募可能
その他 専門的なスキル、キャリアのない人には不向きなサービス
注意点 プロフィールが求人条件に合わない場合は紹介されないこともあり

 

*ハイクラス転職に的を絞った転職活動を実現!

【リクルートダイレクトスカウト】

リクルートダイレクトスカウトの詳細記事を見る

※リクルートダイレクトスカウトのプロモーションを含みます。

 

まとめ 機械保全技能士の資格を活かす方法

本文で繰り返し説明したように、機械保全技能士は設備保全、メンテナンスの技能を証明する国家検定(技能検定)です。

この検定に合格しないからと言って、設備保全やメンテナンスが出来ないわけではありません。あくまで保全エンジニアが自分のスキルアップの為に受検する検定です。

従って、転職市場において機械保全技能士の資格そのものが需要が高いとは言えません。

しかし、検定に合格していることは保全エンジニアとしてのスキルが高いこと、知識が豊富であることの裏付けにはなります。

設備保全の転職においては何より経験重視、実績重視です。あなたがそれを企業にアピールするとき、機械保全技能士の資格があれば単に口だけの説明ではなくしっかりとした裏付けとなります。

まさに説得力が何倍にも高まります。

逆に言えば、単に機械保全技能士検定に合格していると言うだけのアピールでは弱いです。あくまで実務経験、実績とセットでこそ有効な検定と言えます。

 

参考:モノづくりエンジニアの専門資格

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